• 柔道整復師(じゅうどうせいふくし)は、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などのケガを手技で治す厚生労働大臣免許の国家資格
  • 「接骨院」「整骨院」「ほねつぎ」は名称が違うだけで、いずれも柔道整復師が施術する同じ施術所を指す
  • なるには養成施設で3年以上学んで国家試験に合格する必要があり、第34回(2026年実施)の合格率は71.5%

「柔道整復師」という言葉は知っていても、何をする仕事なのか、整体師とどう違うのか、国家資格なのかまでは意外と知られていません。接骨院・整骨院・ほねつぎと呼び名が多いことも、職業像をつかみにくくしている一因です。

このページでは、柔道整復師の仕事内容・呼称の違い・他職種との違い・なり方・年収の全体像を、厚生労働省の職業情報や国家試験の合格発表、柔道整復師法、全国柔道整復学校協会・公益社団法人日本柔道整復師会といった公的・一次情報をもとに整理します。各テーマは個別の解説記事へリンクしているので、気になる論点から深く読み進められます。

柔道整復師とは(読み方と国家資格)

結論柔道整復師は「じゅうどうせいふくし」と読み、骨折・脱臼・打撲・捻挫などのケガを手技で治す厚生労働大臣免許の国家資格です。誰でも名乗れる「整体師」とは法的な位置づけが異なります。

柔道整復師は「じゅうどうせいふくし」と読みます。全国柔道整復学校協会の説明によれば、柔道整復師は「厚生労働大臣免許のもとで打撲・捻挫・挫傷(肉ばなれ)・骨折・脱臼などに対する施術をする」国家資格者で、日本古来の柔術の活法技術に近代西洋医学の知識を組み合わせた職業です。

公益社団法人日本柔道整復師会も、柔道整復師を「基礎医学と骨折、脱臼などの柔道整復術、関係法規を学び、国家試験に合格して取得した国家資格者」と定義しています。手術や投薬を行わず、手技を中心に施術するのが特徴です。

「整体師」とは別物です

街なかで見かける「整体師」には国家資格がなく、原則として誰でも名乗れます。一方の柔道整復師は国家試験に合格しなければ名乗れない国家資格で、骨折・脱臼・捻挫・打撲などへの施術が法律で位置づけられています。両者を混同しないようにしましょう。

柔道整復師の仕事内容

結論外傷性が明らかな骨・関節・筋肉のケガに対し、整復法・固定法・後療法で元の状態に戻すのが中心業務です。手技療法・物理療法・運動療法を組み合わせて回復を支えます。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、柔道整復師の仕事を「骨・筋・関節などの打撲・捻挫・脱臼・骨折などの損傷に対して、手技などにより、元の正常な状態に戻す整復施術を行う」職業と説明しています。

全国柔道整復学校協会によれば、施術は大きく次の3つで構成されます。投薬や手術を伴わない、非観血的(メスを使わない)な手技が柔道整復術の核になります。

  1. 1

    整復法

    脱臼や骨折でずれた骨・関節を、手技で元の正しい位置に戻します。

  2. 2

    固定法

    整復した部位を包帯やテーピング、副子などで固定し、治癒しやすい状態を保ちます。

  3. 3

    後療法

    手技療法・物理療法・運動療法を組み合わせ、機能の回復を促します。

扱う対象は、外傷性が明らかな骨・関節・筋肉などのケガです。日本柔道整復師会も、整骨院・接骨院では「骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷など、外傷性が明らかな運動器系のケガ」に施術を行うと案内しています。慢性的な肩こりや内科的な不調そのものを治療するものではない点が、業務範囲を理解するうえで重要です。

施術のうち、骨折と脱臼の患部への処置(応急手当を除く)は、原則として医師の同意が必要とされています。これは柔道整復師が扱える範囲が法令で定められているためで、医療機関と連携しながら施術にあたる場面も少なくありません。柔道整復師の仕事は「自己判断で何でも治療できる」のではなく、外傷性のケガという明確な領域のなかで専門性を発揮する職業だと理解しておくと、整体師や医師との役割の違いも見えやすくなります。

活躍する場所は接骨院だけではない

柔道整復師は、接骨院・整骨院のほか、整形外科などの医療機関、スポーツの現場(トレーナー)、介護・福祉分野の機能訓練指導員など、幅広い場で活躍します。働き方の選択肢が広いことも、この資格の特徴です。

整骨院・接骨院・ほねつぎの違い

結論「接骨院」「整骨院」「ほねつぎ」は名称が違うだけで中身は同じです。いずれも柔道整復師が施術を行う施術所を指し、できることに差はありません。

「接骨院と整骨院は何が違うのか」とよく疑問に思われますが、日本柔道整復師会は「名称が違うだけで、すべて柔道整復師の資格を持った人が行っている施術所なので同じです」と明言しています。ほねつぎ(骨接ぎ)も同様に、柔道整復師の施術所を指す古くからの呼び名です。

  • 接骨院・整骨院・ほねつぎは、いずれも柔道整復師が施術する施術所
  • 呼び名が違うだけで、提供できる施術の内容に差はない
  • 扱うのは外傷性が明らかなケガ(骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷など)

なお、施術所の名称表示については、広告ガイドラインの観点から行政で議論が続いている分野でもあります。利用者の視点では「接骨院でも整骨院でも、柔道整復師がいる同じ施術所」と理解しておけば十分です。

混同されやすいのが「整形外科」との違いです。整形外科は医師が在籍する医療機関で、レントゲンなどの検査や手術、投薬といった医療行為を行えます。一方の接骨院・整骨院は柔道整復師の施術所であり、外傷性のケガに対する手技中心の施術を担います。骨折や脱臼が疑われる場合に医師の同意や連携が前提になるのも、この役割分担によるものです。どこにかかるか迷ったときは、ケガの種類と必要な対応で使い分けると分かりやすくなります。

整体師・理学療法士との違い

結論国家資格の有無と扱う対象が分かれ目です。整体師は無資格、理学療法士は医師の指示のもとリハビリを担う国家資格で、ケガの応急的な施術を担う柔道整復師とは役割が異なります。

柔道整復師と混同されやすいのが、整体師と理学療法士です。最大の違いは「国家資格かどうか」と「何を対象にするか」にあります。

柔道整復師

  • 厚生労働大臣免許の国家資格
  • 骨折・脱臼・打撲・捻挫など外傷性のケガを施術
  • 整復・固定・後療法を自分の判断で行える

整体師・理学療法士

  • 整体師は国家資格がなく民間資格・無資格
  • 理学療法士は国家資格で主にリハビリを担当
  • 理学療法士は医師の指示のもとで業務を行う

整体師との違いは「国家資格かどうか」が中心です。整体師には国家資格がないため、骨折や脱臼への施術は本来の業務範囲ではありません。これに対し柔道整復師は、外傷性のケガに対する整復・固定・後療法を、自身の判断で行える国家資格者です。

理学療法士は同じ国家資格ですが、病気やケガで低下した身体機能の回復(リハビリテーション)を、医師の指示のもとで担う点が柔道整復師と異なります。柔道整復師がケガそのものの応急的な施術から関わるのに対し、理学療法士は医師の診断後の機能回復を支える役割が中心です。理学療法士との違いは仕事内容・年収・資格取得ルートまで論点が多いため、柔道整復師と理学療法士の違いで詳しく整理しています。

柔道整復師になるには・資格

結論厚生労働大臣指定の養成施設で3年以上学び、柔道整復師法第10条に基づく国家試験に合格する必要があります。独学・通信のみでは資格を取得できません。

柔道整復師になるには、決められた養成課程を経て国家試験に合格する必要があります。厚生労働省の試験施行情報によれば、受験資格は「大学に入学できる者で、厚生労働大臣が指定した養成施設において3年以上、必要な知識・技能を修めた者」と定められ、試験は柔道整復師法第10条に基づいて実施されます。

国家試験は例年3月に年1回行われます。厚生労働省の第34回国家試験の合格発表(2026年実施)によると、結果は次のとおりでした。合格率は年によって変動します。

項目第34回(2026年実施)
受験者数4,434人
合格者数3,170人
合格率71.5%

さらに詳しく知るには

資格取得までの流れや学校の種類、社会人ルートは柔道整復師になるにはで、受験資格・試験科目・免許登録の仕組みは柔道整復師の資格で、それぞれ公的情報をもとに詳しく解説しています。

年収と働き方の全体像

結論勤務先(接骨院・整形外科・スポーツ・介護)や独立開業かによって収入は大きく変わります。具体的な金額や働き方別の傾向は専門記事で公的データをもとに整理しています。

柔道整復師の収入は、勤務する施術所や働き方によって幅があります。接骨院・整骨院での勤務に加え、整形外科などの医療機関、スポーツトレーナー、介護分野の機能訓練指導員、そして自身での開業まで、キャリアの選択肢が広いことが背景にあります。

開業については、柔道整復師は免許を取得すれば施術所を開ける開業権を持ちますが、整骨院で健康保険を扱う「施術管理者」になるには、資格取得後の実務経験と研修が別途必要です。同じ国家資格でも、勤務として安定的に働くか、独立して開業を目指すかでキャリアの形は大きく変わります。

一般に、勤務の柔道整復師は施術所の規模や地域、経験年数によって収入に幅が出やすく、開業すれば経営の成否が収入を左右します。だからこそ「柔道整復師=高収入」「柔道整復師=食えない」といった一面的なイメージで判断せず、働き方ごとの実像を公的データで確かめることが大切です。年収の目安や働き方別の傾向、開業までの道のりは、求人媒体の数値ではなく公的データを根拠に柔道整復師の年収で詳しく解説しています。

向いている人と活躍の広がり

結論人のケガと回復に責任を持って向き合える人、手技を磨き続けられる人に向く職業です。接骨院だけでなく、医療機関・スポーツ・介護へと活躍の場が広がっています。

柔道整復師は、人のケガに直接手を当て、回復までを支える仕事です。痛みや不安を抱えた相手と丁寧に向き合えること、解剖学などの知識と手技を学び続けられること、そして自分の判断に責任を持てることが、適性として挙げられます。柔道経験そのものは必須ではなく、養成施設で基礎から学べます。

活躍の場は接骨院・整骨院にとどまりません。全国柔道整復学校協会が挙げるように、整形外科などの医療機関、プロ・アマのスポーツ現場、そして介護・福祉分野の機能訓練指導員まで広がっています。高齢化が進むなかで運動器のケアや介護予防のニーズは続いており、運動器の専門知識を持つ柔道整復師が関われる領域は多様です。

  • ケガと回復に責任を持って向き合える人
  • 解剖学などの知識と手技を学び続けられる人
  • 接骨院・医療機関・スポーツ・介護など幅広い場で働きたい人

ただし、開業の自由度が高い一方で施術所間の競争もあり、収入や働き方は本人のキャリア選択で大きく変わります。だからこそ、資格を取る前に仕事内容・なり方・年収の全体像を把握しておくことが、後悔のない進路選びにつながります。

まとめ

柔道整復師(じゅうどうせいふくし)は、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの外傷性のケガを、整復・固定・後療法という手技で治す厚生労働大臣免許の国家資格です。接骨院・整骨院・ほねつぎは名称が違うだけで同じ施術所を指し、国家資格を持たない整体師や、リハビリを担う理学療法士とは役割が異なります。

なるには養成施設で3年以上学んで国家試験に合格する必要があり、第34回(2026年実施)の合格率は71.5%でした。年収や働き方は勤務先・開業によって幅があります。それぞれの論点は、なるには資格年収理学療法士との違いの各記事で、公的情報をもとに深掘りできます。